
AUCTeX は Emacs 上の TeX 入力支援ソフトです。 昔は、AUC TeX とも AUC-TeX とも書いていましたが、 現在は AUCTeX と固めて書くことになっています。 同種のソフトウェアに野鳥があります。
奥村さんの AUCTeX のページも参考になります。
To the Contents.
ブログ clmemo@aka でも AUCTeX の情報を提供しています。よろしければ、お立ち寄り下さい。
2002 年 11 月末、 AUCTeX のメンテナーが Per Abrahamsen 氏から David Kastrup 氏へと引き継がれました。 メンテナー交代に伴って Kastrup 氏は AUCTeX の開発場所を Sunsite から Savannah へ移す事を宣言。 本家ウェブページのアドレスも既に変更されています。 何はともあれ、Abrahamsen 氏は長きに渡るメンテナンス、お疲れ様です。
最新/開発版の AUCTeX について解説します。
最新の AUCTeX は、以下のサイトにあります:
http://ftp.gnu.org/pub/gnu/auctex/
開発版の AUCTeX は CVS 経由で取得します。
2005-12-13 付で CVS の PATH が変更になりました (See AUCTeX 11.82 リリースの「CVS でインストールしてる人に...」)
$ cvs -z3 -d:pserver:anonymous@cvs.sv.gnu.org:/cvsroot/auctex co auctex
CVS から AUCTeX を取得済で、アップデートするには、 auctex ディレクトリーに移り次のコマンドを実行します。 変更されたファイルだけ差分ダウンロードされます。
$ cvs update -Pd
インストールは GNU 方式です。
$ cd auctex $ ./autogen.sh ← configure スクリプトの作成 (CVS 版 AUCTeX のみ必要) $ ./configure ← Makefile の作成 $ make # make install
11.55 以前の AUCTeX では make contrib の実行が、 11.50 以前の AUCTeX では Makefile そのものの修正が必要でした。 しかし 11.81 以降、configure が MULE サポートの有無を調べて Makefile に反映するため、煩わしい修正作業は要らなくなりました。
.emacs に次の設定を追加します。
(load "auctex.el" nil t t) (load "preview-latex.el" nil t t) ;; 日本語 TeX 用の設定 (setq TeX-default-mode 'japanese-latex-mode) ;;; 以下、必要に応じて追加して下さい。 ;; jsarticle を標準のクラスにする (デフォールトは jarticle) (setq japanese-LaTeX-default-style "jsarticle") ;; NTT jTeX を使う (デフォールトは pTeX) (setq japanese-TeX-command-default "jTeX") ;; preview-latex で dvipng を使う (setq preview-image-type 'dvipng)
TeX ファイルのコンパイルには C-c C-c LaTeX とします。 すると、AUCTeX はクラス・ファイル名から 英文用の latex、日本語 ASCII pTeX 用の platex、日本語 NTT jTeX 用の jlatex の内 最も適切なコマンドを選んで TeX のコンパイルをします。 もし、(自作のクラス・ファイルを使うなどしていて) AUCTeX が latex コマンドの選択に失敗するようなら、 C-c C-c pLaTeX もしくは C-c C-c jLaTeX とコマンドを明示的に指定します。 (latex コマンド判定機能は AUCTeX 11.11 でサポートされました)
TeX ソースに誤りがあると、AUCTeX はエラー・メッセージを日本語で表示します。 更に C-c ` で、エラー行へジャンプします。
C-c C-c の後に View を選ぶと dvi のビューワー (普通は xdvi) が起ち上ります。 また、Mendex だと mendex コマンドが、 jBibTeX だと jbibtex コマンドが実行されます。 TAB を押せば補完が効きます。
preview-latex とは、図や数式などを画像を使ってプレビュー表示する機能です。
\documentclass{jarticle}
\begin{document}
\section{preview-latex のテスト}
有名なピタゴラスの定理は、三角形の長辺 $x$ の (以下略)
\begin{equation}
x^2 = y^2 + z^2
\end{equation}
\end{document}
例えば上のようなソースがあったとして C-c C-p C-d すると、 Cache preamble? (y or n) と聞かれた後、下のように数式部分が画像で置き換えられます。

また、カーソルを画像部分の中に入れるとソースが表示され、色の変わった部分からカーソルを外に出すと画像に戻ります。

ソースを編集したら、C-c C-p C-p でその場所だけ preview-latex を実行します。
プレビューを解除するには、C-c C-p C-c C-d です。
Folding とは、TeX ソースの可読性を損ねるコマンド (ex. footnote とか cite など) を折り畳んで小さく表示する機能です。 例えば、次のような TeX ソースがあったとします。
\index{パガニーニ}パガニーニ (Fig.~\ref{fig: paganini portrait})
は偉大な作曲家であった\cite{life and works of paganini}。
彼の存在は同時代の作曲家に強く影響を与えた。
\index{ショパン}ショパン\footnote{Variations `Souvenir de Paganini'}、
\index{シューマン}シューマン\footnone{Paganini Etudes, Op.3 \& Op.10}、
\index{リスト}リスト\footnote{Paganini Grand Etude, etc...}、
\index{ブラームス}ブラームス\footnote{Variationen \"uber ein Thema von Paganini, Op.35}、
\index{ラフマニノフ}ラフマニノフ\footnote{18th Variation from Rhapsody on a theme of Paganini}ら
はパガニーニに曲を寄せている。
とりわけ、リストの「パガニーニによる超絶技巧練習曲 (1838)」は圧巻である。
これは、ソースがとても見にくい。 そこで C-c C-o C-f (M-x TeX-fold-mode) で Fold モードに入り C-c C-o C-b (M-x TeX-fold-buffer) します。 すると、ごちゃごちゃした TeX のコマンドが小さくなります。
[i]パガニーニ (Fig.~[r]) は偉大な作曲家であった[c]。 彼の存在は同時代の作曲家に強く影響を与えた。 [i]ショパン[f]、 [i]シューマン[f]、 [i]リスト[f]、 [i]ブラームス[f]、 [i]ラフマニノフ[f]ら はパガニーニに曲を寄せている。 とりわけ、リストの「パガニーニによる超絶技巧練習曲 (1838)」は圧巻である。
随分と見晴らしが良くなりました。 上のサンプルで [i] とあるのは \index がそこにあることを示しています。 同様に [f] は \footnote、 [c] は \cite、 [r] は \ref を表します。
カーソル (-!- で表しています) を [i] の中に持っていくと、 非表示になっていた \index とその中身が姿を現します。 この状態で編集も可能です。
\index{パガニーニ-!-}パガニーニ (Fig.~[r])
は偉大な作曲家であった[c]。
彼の存在は同時代の作曲家に強く影響を与えた。
カーソルを \index の外に出すと自動的に小さくなります。
Fold モードは C-c C-o b (M-x TeX-fold-clearout-buffer) で解除します。
Fold 用のコマンドは以下の通りです。 カッコの中は、Folding の解除用キー・バインドです。
最新の AUCTeX では、既に修正されている問題。古い AUCTeX を使っている人用に...
AUCTeX 11.55 より標準配布。
jsarticle.el と jsbook.el は、 奥村さんが提唱する 新しいドキュメント・クラス 用のスタイル・ファイルです。
tex-jp.el は AUCTeX の日本語 TeX 用ファイルです。 Kobayashi Shinji さんによってオリジナルが書かれ、 AUCTeX の標準配布物となっています。
AUCTeX 11.84 付属の tex-jp.el には、 日本語 TeX ファイルをコンパイルできない不具合があります。
下記 tex-jp.el をダウンロードし、古い tex-jp.el を上書きして下さい。
AUCTeX 11.14 以前の tex-jp.el には、 Windows でコマンド・プロンプトからコマンドを呼び出せない不具合があります。 (Cygwin の bash を使っている人は、大丈夫です)
下記 tex-jp.el をダウンロードし、古い tex-jp.el を上書きして下さい。
AUCTeX 10.0c 以前の tex-jp.el には、 日本語ファイルを読み込むと AUCTeX が起動しないという致命的なバグがあります。
下記 tex-jp.el をダウンロードし、古い tex-jp.el を上書きして下さい。
AUCTeX 11.55 では、日本語用 fill コードが削除されました。 そのためいくつかの不具合が報告されています。
下のパッチは、上記問題を修正します。
Ref. [tex-qa: 34317], [tex-qa: 34459], [tex-qa: 34492], [tex-qa: 34579], [tex-qa: 34621], [tex-qa: 34719].
Emacs 21 の既知のバグですが、 font-lock が ON な時にコメントアウトしようとすると、 (args-out-of-range 24 25) のようなエラーが出ることがあります。
以下のコードを .emacs に入れるとよいようです [Thanks: 井汲さん,2005-03-06 Update]。
(defadvice previous-single-property-change (after normalize-min activate)
"Emacs 21 のバグ対策。返り値が narrowing 範囲内に収まるようにする。"
(if ad-return-value
(setq ad-return-value (max ad-return-value (point-min)))))
ちょっと脱線話を一つ。 本家ウェブサイトの Contact にある David Kastrup のリンクをクリックしてみて下さい。 新メンテナー、David が climbing している画像が見られます。
気付く人は気付きますが、この画像ファイルの名前、lotr.jpg です。
私がこれって「ロード・オブ・ザ・リング」(The Lord of the Ring) の事ですか?
ときいてみたら、
こんなお返事を頂きました。
Kastrup 氏の許可を得て引用します。
;; lotr.jpg means "Lord of the Ring"? ;-)
From the "more than you ever wanted to know" department: the picture is while climbing in "Herr der Ringe" (German for "Lord of the Rings"), a route located at Nideggen in the Eifel which probably got its name since it is mostly protected with ring bolts.
「もっと知りたいで」省の報告によると、 この写真は「Herr der Ringe」 (ドイツ語で「ロード・オブ・ザ・リングの意) というルートを登攀している時のものです。 「Herr der Ringe」はアイフェル (Eifel: ドイツ西部、Rhine 川の西、Moselle 川の北に広がる高原) の Nideggen にあります。 その名前の由来は大半がリング・ボルトで守られている事によるのではないでしょうか。 (訳:安宅正之)
David Kastrup さんから追信を頂きました。 写真は Burgwand という 40 m 程の岩を登攀している時のものだそうです。 私はクライミングについて無知なので知らなかったのですが、 クライミングの世界では、ルートの名前は最初に登った人が付ける事が出来るそうです (それが例え「2 m 程横へ進む」というルートであっても...) 「Herr der Ringe」というルートは地図には出ておらず、 topox と呼ばれるクライミング・ガイドに載っているだけだそうです。 また、同名のルート名が存在することも、よくあるそうです。
指輪ファンにはちょっとうれしい一コマです。
